2009年7月15日水曜日

折り紙と亀

今日は、亀についての紹介です。

亀の甲羅は、なんと平面に広がった肋骨からできているそうです。
さらにこの肋骨は背骨とくっついているので、よくアニメなので見かける「亀を甲羅から出す」ことはできないのだそう。

「肩甲骨は、この肋骨の中にある。」


不思議な感じがしますか?

それでは、私たちの体で考えてみましょう。
・・・そうです、背骨を持つほかの動物はすべて肩甲骨は肋骨の外にあるのです(下図参照)
さらに、亀の胴体の筋肉はこれよりも不思議なことになっているんだそう。
今日はその謎に迫ります。



この不思議な現象はいったい徐々に生じたものなのか、はたまたそれとも突然変異で起こったものなのか。
生物学者の間では長年の謎だったそうですが
このたび、理研CDBの長島寛研究員がスッポンの胚を使って形成過程を発見しました。


それは筋肉が折り紙のように曲がっていくことです。


マウスと鶏と亀の胚を比べると、
この3種の胚、驚くことに最初のほうは同じように発達していきました。

はじめは肩甲骨がみんな肋骨の外にあったそうです。

鶏とマウスは、肩甲骨が体の後ろ側に向かって胴体に沿って伸びていきます。
肋骨はわき腹のほうに伸びていって、節筋と呼ばれる筋肉に囲まれるようになります。
ちなみにこれらの形成過程はすべての動物でおなじように起きています。



ところが、亀の胚はちょっとだけ異なっていました。
肩甲骨が体のだいぶ前面のほうに位置していて、
肋骨はとても短くわき腹のほうには全く伸びていきませんでした。
この2つのちょっとした違いが胚が成長するにつれて大きな違いを生んだのです。

亀の節筋は、肋骨が短いために下半分は折りたたまれて体の内側に伸びました。
その間に、2番目の肋骨はまだ成長しているために
折り込まれた筋肉と肋骨の間に挟まる形で、肋骨の下にしまいこまれてしまったのです。
(下図、R2が2番目の肋骨・SCが肩甲骨)



また、これが原因となって亀の肋骨の成長が止まってしまうのです。
この筋肉が折りたたまれていく場所、それはまさに甲羅の縁と一緒のところです。

長島研究員は、この発見によってオドントケリス(甲羅のない亀と現在いる亀の中間の亀)についても
説明できるかもしれないといっています。
オドントケリスは下半分だけの甲羅を持っている亀で、
現代の亀と同じように同じよう背中に短い肋骨が伸びています。
しかしながら、2番目の肋骨は肩甲骨を覆ってはおらず肋骨の前にあることから
現代の亀に進化する前の過程を示しています。
(下図、左が羊膜類の先祖・中央がオドントケリス・右が現代の亀)



オドントケリスについてはまた今度・・・

<<今日の単語>>
shoulder blade・・・肩甲骨
rib・・・肋骨
embryo・・・胎芽、胚
configuration・・・配置、形態、構造
amniote・・・羊膜類(卵は「羊水 amnion」、羊膜で胚を囲っている。クジラ、鳥、恐竜、亀、トカゲなどが羊膜類。)

Source: How the turtle got its shell through skeletal shifts and muscular origami
images: from Singeru Kuratani, Hiroshi Nagashima and Science/AAAS

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